皮膚のしくみと構造を
わかりやすく×詳しく説明
【イラストつき】
肌トラブルの予防、解決のためにも肌のしみくと働きを理解するのはとても重要です。
しかし、いざ勉強しようと思っても難しい説明でよくわからない。
逆に、簡単すぎてもっと詳しく知りたい。
ということないでしょうか。
そんな方に、イラストつきでわかりやすく、しかし知りたいであろう情報を詳しく説明していきます。
今回は、吉木信子先生著書「スキンケア美容医学事典」を参考にさせていただきつつ、美容皮膚科7年、皮膚科3年経験の私なりにわかりやすくまとめました。
美容ナースになった当初、皮膚の基本を教えてくれた私のバイブル本でもあります。
皮膚のしくみの要点だけをまとめているので理解しやすい内容になっていると思います。
皮膚の基本を理解することで、様々な肌トラブルの原因や治療の根本を知ることができるので誤ったスキンケア、治療を防ぐことができます。
早速、皮膚について勉強していきましょう!
皮膚の構造と働き
皮膚の働き8つ
- 保護する
- 体温を保つ
- 感覚を伝える
- 排泄する
- 必要なものを作る
- 呼吸をする
- 免疫に関わる
- 吸収する
今回はこの中で
主に「保護する」について肌の構造と共に説明していきます。
皮膚は上から、「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層からなります。
表皮の構造と働き
表皮は『角質層』『顆粒層』『有棘層』『基底層』の4層からなり、主に保護と再生の働きをしてくれます。
皮膚の表層(最も外側に)にあり、角質層のバリア機能であらゆる物質の体内の浸透を防いでくれます。
又、基底層にはメラノサイトがあり、紫外線からも肌を守ってくれているのです。
絶えず細胞分裂によって新しく生まれては表面からあか(角質)となって剥がれ落ちていて、これを「ターンオーバー」といいます。
表皮が傷ついても自然に治るのは、表皮の奥から生まれる細胞ですぐに修復されるからです。
ターンオーバーのサイクル
19日ほどかけて基底層で細胞分裂が行われ、
そこから顆粒層まで14日、
角質内にとどまる期間が14日と言われている。
➡ターンオーバーが28日と言われるのは、基底層~顆粒層、角質内にとどまる期間を合わせた日数になります。
年代別のターンオーバーサイクル
年代 | 日数 |
20代まで | 28日 |
40代 | 40~50日 |
60代 | 100日 |
ターンオーバーのサイクルは年齢を重ねるごとに遅くなります。
年齢があがると傷が治りにくく、痕が残りやすくなるのはターンオーバーが遅くなるからです。※ターンオーバーを低下させないために美容医療でピーリングなどの角質ケアを行うことでターンオーバーの促進をサポートします。
ターンオーバーと肌あれ
- ターンオバーの乱れ
睡眠不足などによりターンオーバーが乱れ角質細胞が綺麗に層状に並ばず隙間などができると肌のバリア機能が低下してしまします。
➡外的刺激を受けやすく敏感な肌になる。 - ターンオーバーが遅くなる
老化とともにターンオーバーが遅くなります。肌代謝が落ちることで表皮全体がやせて薄くなるとシワがより、逆に角質は厚くなり透明感が失われてしまいます。
又、メラニンもうまく排出れずシミの原因になってしまうのです。
➡シワ、くすみ、ごわつき、しみの原因になる。 - ターンオーバーが早くなる
ターンオーバーが早まる皮膚疾患では乾癬やアトピーなどがあり、皮膚が炎症をおこします。
角層は暑くなりすぎると透明感がなくなったり、肌のゴワつきの原因になりますが、角層を薄くしようと、こすりすぎて角質を無理やり剥ぎ取ってしまうと、そこを修復しようと角化が早まり、未熟な角質細胞が上がってくるので角質層は乱れ乾燥になります。
➡炎症や乾燥を引き起こす。
ターンオーバーは遅すぎても早すぎても良くないということです。
真皮のしくみと役割
真皮は主に「ヒアルロン酸」「繊維芽細胞」「コラーゲン繊維」「エラスチン繊維」からできており、肌の弾力やハリに関与しています。
真皮は表皮の下にあり、70%はタンパク質繊維でつくられたコラーゲン繊維でできています。
コラーゲンは網目状の構造で、エラスチンが所々でつなぎとめて肌の弾力を維持しているのです。
コラーゲン線維は線維芽細胞から生み出され、酵素によって分解されます。
真皮でも生産と分解によってゆるやかに新陳代謝が行われているのです。
真皮全体が代謝するのは2~6年かかるといわれています。
コラーゲンがつくられる量は加齢とともに減少し、40代後半くらいからは限りなく「ゼロ」に近くなります。
ヒアルロン酸はゲル状で存在していて、こちらも加齢で減少しシワの原因となります。
エラスチンは真皮に1~2%しか存在していませんが、肌のハリに重要な働きをしています。
加齢でエラスチンが減少するとシワやたるみが発生してしまいます。
一般的には、コラーゲンばかりが重要視されがちですが、皮膚のハリにはエラスチンの方が重要と言われています。
エラスチンも老化と共に弾力を失い、肌のたるみにつながります。
真皮を鉄筋のビルに例えると・・・
鉄骨がコラーゲン、それを留めているのボルトやネジがエラスチン、その周りを埋めているセメントがヒアルロン酸などです。ボルトやネジがゆるむと全体の骨格が崩れてしまいます。
小さく軽いボルトやネジですが、大きな役割を果たしてくれているのです。
皮下組織の役割
皮下組織のほどんどは皮下脂肪です。
皮下脂肪の主な役割は、エネルギーの貯蔵、外力から体を守るクッション作用、体温をまもる保温作用などがあります。
皮下脂肪は美容の敵と思われがちですが、脂肪により私たちの体は守られており、大切なからだのひとつなのです。
まとめ
・皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層でできている。
・表皮は「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層からなり、主に保護と再生の働きをする。
・表皮は細胞分裂によってによって絶えず生まれ変わっている。(ターンオーバー)
・ターンオーバーのサイクルは28日だが、年齢と共に遅くなる。
・ターンオーバーが遅くなるとシワ、くすみ、ごわつき、透明感の消失、しみの原因になる。傷の治りも遅くなる。
・ターンオーバーが早すぎると炎症や乾燥の原因になる。
・ターンオーバーの乱れは肌あれはや老化に関与する。
・真皮は「ヒアルロン酸」「線維芽細胞」「コラーゲン線維」「エラスチン線維」からできており、肌の弾力やハリに関与している。
・線維芽細胞でコラーゲン線維がつくらる。
・真皮も遅いが、コラーゲン繊維の生産、分解の代謝が行われている。(2~6年)
・コラーゲン線維は網目状で、それをつないでいるのがエラスチン繊維。コラーゲンはゲル状で、どの組織も肌のハリ、弾力に関与している。
・年齢と共にコラーゲン線維、エラスチン線維、ヒアルロン酸は減少し、それに伴い肌の弾力低下、しわ、たるみの原因になる。
・皮下組織はほとんどは皮下脂肪。
・皮下脂肪はの役割はエネルギーの貯蔵、外力から体を守るクッション作用、体温をまもる保温作用などがある。
いかがでしょうか。
皮膚の基礎だけでも覚えておくとスキンケアへの関わり方も変わってくると思います。
肌はとても有能かつ繊細ということがわかったと思います。
年齢と共に肌は衰え、シミ、しわ、たるみ、くすみなど老化現象として目に見えて現れますが、正しいホームケアやクリニック治療で大幅に遅らせることが可能になってきました。
まずはしっかり肌を理解し、早めのケアと正しいケアでいつまでも健康な肌を目指しましょう!
また、私のように美容ナースをこれから目指す人も、皮膚の基礎を学ぶことで、肌のトラブルの原因が想像できるようになり、美容施術への理解も深まると思います。
これからも肌の探究一緒に頑張りましょう。
コメント